物体の風化を著しく加速させる力。彼女の手からは砂がこぼれ落ち、何も残らない。
モルフェウスシンドロームでありながら、ものを生み出す能力は一切持たない。
最近でこそ少々制御できるようになったが、ものを分解する能力は無意識に働いてしまう。

データイメージ
UGNチルドレンにしては珍しく活発で、つまらない養成施設の生活の中から楽しみを見つけてきた。
自分にとって最も身近で、大好きで、自慢の存在だった。
与えられたおもちゃを風化の能力でだめにしてしまう希に、古びたCDプレイヤーを拾ってきて歌を教えてくれた。
初めて聴いたJポップの歌詞には共感する部分は少なかったけれど、普通の生活への憧憬を抱きながら、曲が与えてくれる、UGNチルドレンにとってある意味で幻想的な世界に浸ることが楽しかった。
直接戦闘の苦手な縁の前に立ち、戦っているのはいつも自分だった。自分が縁を守り、縁が自分を癒す。そうだと思っていた。縁の最期の時までは。
希自身は姉妹愛だと思っているが、この感情はきっと依存である。縁を失ったという罪悪感にこそ希の理性は支えられている。

二人でチルドレン養成施設をこっそり抜け出してCDショップに向かおうとした折に、伊庭宗一が老人に襲い掛かろうとしていることに気づき、とっさに二人で老人を守ろうとする。
老人を逃がそうとする縁とは対照的に、希は無謀にも真正面から挑みかかろうとした。
攻撃が希に向いたとき、衝動に呑まれた体内のレネゲイドが縁の作ってくれた砂の鎧を拒み、破壊した。
希が危ないと判断した縁が身を挺して庇い、死亡してしまう。
気付いたらUGN傘下の病院のベッドの上、隣には顔に白い布をかけられた縁が眠っていた。
左胸、心臓の近くに黒い物体――怨念の呪石――が生まれていた。
後から調べた内容によれば、伊庭宗一に襲われた老人は裏社会で一定の権力を持つ者であり、組内抗争の中で雇われた伊庭宗一に攻撃されたのだという。
しかし二人の勇気ある行動もむなしく、老人は伊庭宗一から逃げられずに死亡。
守ろうとした老人も、姉も守れなかった。すべては無意味だったのだろうか。
あの時の自分に、あとほんの少しの冷静さがあれば。嫌悪衝動に呑まれて鎧を破壊してしまわなければ。
大好きな姉である縁は伊庭宗一に殺されずにすんだのだろうか。
この事件は希の心に大きな楔を打ち込んだ。その呪いは今なお解けていない。

「怨念の呪石」「サイドリール」

左胸のあたりに自身のレネゲイドが唯一生成したもの。
レネゲイドと強く結びついており、摘出は死亡を意味する。
フレーバー的にはカウンターレネゲイドの力を増幅する。
カウンターレネゲイドの効果が発動してその攻撃性を高めるたびに怨念の呪石が痛み、自身の体を傷付ける。

「RMAアーマー」「七里靴」

希のために特殊な素材で作られたオーダーメイドの防具。
希のレネゲイドによる風化効果を抑えることに特化しており、これによって日常生活を何とか不自由なく送ることができている。

引っ込み思案で、自分から話しかけるのは苦手。
きれい好きで、やや潔癖ぎみだが、任務の際はそんなこと言っていられないので汚れるのは躊躇しない。
伊庭宗一の一件から、悪人がいなくなれば世界がよりよくなるのだと感じた。
そうして、世界には存在してもいい人間と存在すべきでない人間がいると考えるようになる。
伊庭宗一や、FHエージェント。希の考える浅はかな選民思想で「悪」と判断した者には人権など不要である、消すべき、だと。
しかし、面影島を訪れ、（少なくとも表面上は）平和に過ごしている"ナイチンゲール"小鳥遊小夜の姿を見て、その考えが揺らぎ始めている。

唯一の趣味は音楽。何も壊さずに楽しめるから。
かつて一度UGNに頼み込んで縁と一緒にブラスバンドに入ろうとしたが、楽器をだめにしてしまって断念した。縁は「希が入らないなら私も入らない」と断った。それから毎晩、二人だけで《空の楽器》を使って演奏を楽しむようになった。
チルドレン養成施設の大人たちの目を盗んで、街中に溢れる流行の音楽に触れることが一番の楽しみだった。
縁を失った今もなお、レネゲイドを憎んでいる今も、二人で聞いた曲の数々を《空の楽器》で無意識に鳴らしてしまう。

誕生日

5/23

好きなもの

縁、音楽、美術、寿司、サンドイッチ(食器を壊さずに食べられるから)

嫌いなもの

レネゲイドウィルス、オーヴァード、砂、埃

得意なもの

歌唱(絶対音感あり)

苦手なもの

数学、友達作り、貝料理(砂抜きが完璧だったとしても抵抗はある)

セクシャリティ

シスジェンダー、レズビアン寄りのバイセクシャル

一人称

わたし

二人称

あなた